「資格を取れば人生が変わる」

そう思って、勉強を頑張ったことはありませんか?

「この資格さえ取れば、人生が変わるはず」

私はその想いだけを支えに、6年間、人生を資格試験に捧げました。

結果として国家資格「技術士」に2部門合格しました。

でも今日お話ししたいのは、合格の喜びの話ではありません。

「合格しても、変わらなかった」という話です。

そして、技術士合格。

決して、表にはできない。

その代償の話です。

資格試験の勉強机と積み上がった専門書

平均合格年齢45歳の国家資格

建設コンサルタント業界には「技術士」という国家資格があります。

会社が業務を受注するために必須とも言える資格で、受験には一次試験の突破に加えて、長い実務経験が必要。

平均合格年齢は45歳前後という、かなり手強い資格です。

私の住む沖縄では取得者が少なく、資格の有無が会社の存亡に関わる。

だからこそ私は、この資格に「人生を変える力」を重ねてしまったのだと思います。

最短ルートで受験資格を得て、2014年、30歳で初挑戦

(通年を通しての試験なので、正確には29歳からスタート)。

結果は、不合格でした。

3人目が生まれた年、私は「上の空の父親」だった

悔しさで、火がつきました。

毎日、毎日、毎日。

仕事以外の時間はすべて試験勉強に充てました。

実はこの年、3人目の子どもが生まれています。

長女4歳、長男2歳、そして赤ちゃん。

本来なら、もっと子育てに時間を使うべき時期でした。

でも当時の私は「絶対に早く資格を取ってやる」という意欲のほうが勝ってしまった。

土日も勉強漬け。

両親のサポートに甘えて、最低限のことはやっていたつもりですが、正直、いつも上の空でした。

頭の中は試験のことばかり。

このとき初めて「自己投資」もしました。

約15万円の技術士試験の指導講座。

会社員になって初めて、読書の習慣も始めました。

東京での口頭試験に向けて、大阪で模擬試験を受け、試験前日にも東京で模擬試験を受け、お金も時間も惜しまずやれることは全部やりました。

そして2016年、2回目の挑戦で合格。

合格発表の日、妻は泣いて喜んでくれました。

その涙を見て、私は心から思いました。

「これで俺の人生は、変わるんだ」

今思えば、なんて甘い希望だったんだろうと思います。

「次は、別の部門で合格してくれ」

合格後、当時の社長に言われた言葉を、今でも覚えています。

「次は港湾の部門でも合格してくれ」

……え? また受験?

正直、一瞬固まりました。

でも当時の私は、会社が望むことに疑問を持つという発想すらなく、「分かりました」と勉強を再開しました。

人生を変えるはずだった合格は、次の受験勉強の始まりでしかなかった。

仕事はより専門的になり、国の研究機関の先生方や東京のトップ企業との共同プロジェクトにも関わるようになりました。

充実していた、と言えば充実していました。

でも、家の中では確実に、何かが壊れ始めていました。

静かに開いていった、妻との距離

仕事と資格勉強に夢中になるほど、子どもたちのことは妻に任せきりになりました。

妻は妻で、子どもを保育園に預けるために仕事を続ける必要があり、家事も育児も仕事も、いっぱいいっぱいだったはずです。

それでも文句も言わず、頑張ってくれていました。

私はその頑張りに、気づいていませんでした。

正確に言えば、見ようとしていなかった。

「家族のために頑張ってるんだ」という大義名分が、家族を見ない言い訳になっていたんです。

もし時間を戻せるなら、このころの自分の肩を掴んで言いたい。

「お前が守ろうとしているものは、もう目の前で崩れ始めているぞ」と。

でも当時の私は気づかないまま、2つ目の技術士試験に向けて、走り続けていました。

この経験からの学び

  • 資格は「手段」であって「目的」ではない。目的を見失った努力は、人生を変えてくれないということ
  • 「家族のために」という言葉は、家族と向き合わない言い訳にもなり得るということ
  • 会社が望むゴールと、自分が望むゴールは、必ずしも同じではないということ

あなたへの質問

あなたが今頑張っているその挑戦は、「誰の」望みから始まったものですか?

そして、その挑戦の間、いちばん近くにいる人の表情を、最近ちゃんと見ましたか?

次回予告

次回は、私の人生が音を立てて崩れた日の話です。

視察で訪れた東北で見た光景。

そして沖縄に戻った夜、

私は自宅の玄関のドアを、開けることができませんでした。


ここまで読んでいただき、ありがとうございます。

「資格や昇進を頑張っているのに、なぜか満たされない」

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