あなたの専門性は何ですか。

その問いは、起業した私にとって避けて通れない問いでした。

「好きなことで起業すれば、うまくいく」

そう思っていた時期が、私にもありました。

会社員と二足のわらじでコーチング事業を始めた私は、ある問いの前で立ち止まることになります。

「あなたの専門性は、何ですか?」

シリーズ最終話の今日は、起業後のリアルな挫折と、遠回りの末にたどり着いた答え。

そして、今まさに一歩を迷っているあなたに伝えたいことを書きます。

朝焼けの港とクレーンの風景

起業して初めて分かった、2つのこと

昼は建設コンサルタント、夜はコーチング。

二足のわらじ生活で、まず気づいたことがあります。

1つ目。

会社員は、とんでもなく恵まれているということ。

個人事業主は、印刷ひとつするにもプリンターがなければコンビニに走ります。

SNSで発信し続けなければ、誰にも見つけてもらえません。

営業しなければ、仕事は1件も入ってこない。

会社員時代は、会社の営業成果から仕事が「自動で」降ってきていました。

電気代も、名刺代も、会社持ち。

当たり前だと思っていたすべてが、当たり前じゃなかった。

2つ目。

コーチングを学んだら、本業の評価が上がったということ。

相手の立場で話を聴き、本質的な課題を掴めるようになったことで、発注者の方から感謝される機会が明らかに増えました。

結果として、私の関わった業務は、沖縄県から4年連続で優良業務として表彰していただきました。

学びは、思わぬところでつながる。

これは大きな発見でした。

そして、壁にぶつかった

でも、コーチング事業そのものは、壁にぶつかりました。

コーチングを受けに来る方の多くが求めるのは「事業の売上を上げたい」ということ。

そこに応えるには、経営、戦略、マーケティングといった幅広い知識と実体験が必要です。

コーチングの原則は「答えはクライアントの中にある」。

でも、そもそも選択肢を知らない方には、情報や選択肢を提案する力も必要になる。

経営の実体験がない私には、早く結果を求めるクライアントを支援しきれない場面がありました。

さらに、オンラインコーチング市場はどんどんレッドオーシャン化していました。

そんな中で突きつけられたのが、あの問いです。

「あなたの専門性は、何ですか?」

胸に刺さりました。

資格も取った。

学びもした。

でも「私だからこそ提供できるもの」を、私はまだ言語化できていなかったんです。

答えは、ずっと足元にあった

最後に、あなたへ

悩み抜いた末に、気づきました。

私の専門性は、遠くにあるんじゃない。

ずっと足元にあったんです。

  • 学歴の壁に苦しみながら、ゼロから這い上がった建設コンサルタントとしての20年
  • 平均合格年齢45歳と言われる技術士に、30代前半で2部門合格した試験ノウハウ
  • 家族を犠牲にして資格に走り、心を壊しかけた挫折の経験
  • そこから学んだコーチングと、人の本音に伴走する力

これを全部掛け算できる人間は、そう多くない。

だから私は方針を転換しました。

建設コンサルタント業界の人材育成に軸を置く。

昔の私のように「学生時代は勉強してこなかったけど、技術者としてもっと成長したい」という人に、資格取得を伴走する。

企業の人材育成に関わる。

そしてAIを活用して、建設コンサルタント業務のDX化を進める。

「過去の自分を助けに行く」

——これが、私のたどり着いた事業の形です。

最後に、あなたへ

このシリーズを通して、私の不器用な20年を読んでいただきました。

毎日「なぜ働くのか」と自問しながら帰った道。

資格に人生を賭けて、家族との時間を失ったこと。

玄関のドアが開けられなかった夜。

夫婦での学び直し。起業しての挫折と、方向転換。

何ひとつ、かっこいい話はなかったと思います。

でも、だからこそ言えることがあります。

人生は、何歳からでも、どんな遠回りからでも、立て直せる。

変化の激しい時代です。

だからこそ私は、一人で生き抜くのではなく、同じ価値観を持つ仲間と一緒に、自立・自律した人間として、この時代を歩んでいきたいと思っています。

社会インフラが当たり前のように人々の暮らしを支えているように、私もまた、誰かの挑戦を当たり前に支えられる存在でありたい。

もしあなたが今、かつての私と同じ場所

——「変わりたいのに、一歩が踏み出せない場所」

に立っているなら。

その一歩は、案外小さくていいんです。

私の最初の一歩は、飲み会で聞いた資格の話でした。

妻の一歩は、一本の動画でした。

あなたの一歩が、誰かに話してみることなら、私はいつでもここにいます。

この経験からの学び

  • 専門性とは「特別な何か」ではなく、自分の経験(挫折を含む)の掛け算であるということ
  • 学んだことは、思わぬ場所で本業の成果にもつながるということ
  • 「過去の自分を助ける」ことは、最強のビジネスコンセプトになり得るということ

あなたへの質問

あなたのこれまでの人生で、「あの頃の自分に教えてあげたいこと」は何ですか?

それこそが、あなたにしか提供できない価値かもしれません。


5話にわたる長い物語を、最後まで読んでくださって本当にありがとうございました。

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あなたの「玄関のドア」を開けるお手伝いができたら、これほど嬉しいことはありません。

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第1話「なぜこの会社で働くのか」はこちら

第2話「資格を取れば人生が変わると思っていた」はこちら

第3話「玄関のドアが、開けられなかった」はこちら

第4話「10万円の給付金を『貯金』しなかった夫婦の話」はこちら

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