机の上で学習計画を手書きしているノートと鉛筆
どこに時間を使うかを決めるところから始まる

前回の記事では、私が2021年に合格し、2025年に1〜2点差で不合格になった経験から、技術士の学習が効く科目と効かない科目がはっきり分かれるという話を書きました。

今回は、その前提となる試験の全体像を整理します。

RCCMの受験を決めたとき、多くの方がまず知りたいのは「何を、どれだけ勉強すればいいのか」だと思います。

ところがRCCMは科目ごとに必要な準備がまったく違うため、全体像を掴まないまま走り出すと、時間の配分を誤ります。

実際、私が2025年に落ちたのは、この配分を誤ったからでした。

なお本記事の制度に関する記述は、令和8年度の受験の手引に基づいています。

受験にあたっては、必ず最新の公表資料をご確認ください。

まず、受験資格を確認する

前提として、受験資格から整理しておきます。

必要な実務経験年数は、学歴によって変わります。

基準となる学歴必要な実務経験年数
大学院(博士課程)学位授与後2年以上
大学院(修士課程)修了後5年以上
大学卒業後7年以上
短期大学・高等専門学校・専修学校(2年制)卒業後9年以上
高等学校卒業後11年以上
中学校卒業後14年以上

ここで押さえておきたいのが、この実務経験年数について「部門は不問」という点です。

建設コンサルタント等業務に従事した年数の合計で判断されます。

一方で、年度内に受験できるのは1部門のみであり、すでに合格している部門は受験できません

また、受験申込時に選んだ部門を、受験時に変更することもできません。

部門選びは、申込の段階で決着させておく必要があります。

なお手引には「業務内容について、受験可能か否かはご自身でご判断ください」と記されています。

ここは自己判断に委ねられている部分ですから、慎重に見極めるべきところです。

試験は「試験A」と「試験B」の2つ

RCCMはCBT方式(テストセンターのパソコンで受験する形式)で実施され、試験Aと試験Bという2つの試験を受験します

両方を受験してはじめて、受験完了となります。

【試験A】130分

  • 問題Ⅰ:受験する専門技術部門の業務経験(記述式)
  • 問題Ⅱ:業務関連法制度、建設一般の知識、技術者倫理等(択一)

【試験B】130分

  • 問題Ⅲ:管理技術力(記述式)
  • 問題Ⅳ:土木関連の基礎的技術知識と、受験する部門の専門技術知識(択一)

このうち問題Ⅳは、実際には土木共通の基礎知識を問う部分(Ⅳ-1)と、受験部門の専門技術を問う部分(Ⅳ-2)に分かれています。

本記事でも、以降はこの区分で説明します。

試験AとBは、同じ日に両方受けることも、別々の会場・日時で受けることも可能です。

私の場合、2021年も2025年も2週間ほど空けて受験しました。

試験Aを終えてから試験Bの追い込みができるので、日程を分ける利点は大きいと感じています。

CBTならではの、2つの重要な制約

CBT試験

ここは受験前に必ず知っておいてください。

論文の書き方そのものに関わります

制約①:私物の持ち込みが一切できない

手引には「受験会場へは、筆記用具などの私物持ち込みは一切認められません」と明記されています。

腕時計、ペットボトルも禁止です。

つまり、資料を見ながら書くことは一切できません

業務経験の記述も、記述式論文も、すべて頭の中にあるものだけで組み立てることになります。

私が2度の受験で「一番大変だったのは暗記だった」と感じたのは、この制約があるからです。

制約②:記述問題で、図や表が使えない

これも見落とされがちな点です。

手引にはこうあります。

設問への解答はキーボードを利用する方法のみですので、記述問題の解答には、図、表の利用は出来ず、文字による解答作成だけとなります。

技術士第二次試験では、手書きの答案に図やフロー、表を書き込むことができます。

RCCMでは、それができません

これは論文の設計に直接影響します。

技術士の答案で図表を使って整理していた内容も、RCCMではすべて文章で表現し直す必要があるわけです。

「3つの課題を表で並べる」といった省スペースの技は使えません。

この違いは、次回以降で詳しく扱います。

科目ごとの性格を、ひとつずつ見ていく

問題Ⅰ:業務経験の記述 ── 最も時間を食う科目

自分がこれまで担当してきた業務について記述する科目です。

意外に思われるかもしれませんが、私が2度の受験でいちばん時間を取られたのは、この問題Ⅰでした

2021年の記録にも、2025年の記録にも、同じことを書いています。

「一番大変だったのは経歴の暗記」と。

先ほどの「持ち込み一切不可」が、そのまま効いてくるためです。

そしてもう一点、極めて重要な前提があります。

手引には、こう明記されています。

受験の際に経験業務として記述する業務は、建設コンサルタント等業務実績証明書に記載したものより選択してください。

つまり、試験当日に何を書くかは、出願の段階ですでに決まっているということです。

受験申込時に提出する業務実績証明書に載せた業務の中から選ぶことになります。

業務実績は各年度3件が上限で、すべての欄を埋める必要はありません。

近年に実績がない場合は、最も古くて8年前まで、かつ連続した4年間という条件で、記入年度を変更できます。

ここは出願時の設計がそのまま試験の難易度を左右する部分です。

「どの業務を書くか」は、申込書を作る段階から考えておくべきことになります。

暗記のコツについては、第5回で詳しく書きます。

結論だけ先に言うと、一語一句を覚える必要はありません

流れを覚えて、試験中に自分の言葉で埋めていくイメージで十分です。

問題Ⅱ:業務関連法制度・建設一般・技術者倫理 ── 過去問+最新動向

建設分野全般の知識と、技術者倫理を問う択一です。

過去問をひととおり解いておけば、大きく外すことはありません。

ただし2025年に受けた実感として、最近成立・施行された法令など、新しい話題からの出題が思ったより多い印象でした。

過去問だけで固めると、そこで取りこぼします。

とはいえ、極端に時間をかける科目でもありません。

私は土日の空き時間に過去問を解く程度でした。

問題Ⅲ:管理技術力(記述式) ── 技術士学習者の得点源

RCCMの合否を分ける科目として、最もよく名前が挙がるのがこの問題Ⅲです。

論文を書き慣れていない方にとって、ここが最大の関門になります。

ただし、技術士試験の学習を積んだ方にとっては、話が変わります

問題Ⅲには、出題テーマが事前に公表されるという大きな特徴があります。

何が出るかの範囲が分かったうえで準備できるわけです。

そして問われる論文の構造は、技術士第二次試験の必須科目Ⅰとほぼ同じです。

私自身、2021年は「維持管理と長寿命化」が出題され、骨子を準備していたので難なく書けました。

2025年も、事前に絞り込んだ2テーマのうち1つ(国際競争)が出題され、1,550字を書き切っています。

2度とも、問題Ⅲでは詰まっていません

書き方の詳細は、第4回で扱います。

問題Ⅳ-1:土木関連の基礎的技術知識 ── 過去問1周で足りる

土木共通の基礎的な知識を問う部分です。

ここは、過去問からの出題がかなり多いという印象です。

2021年も2025年も、過去問を1周しておけば大きな問題はありませんでした。

計算問題で分からないものがあれば、そこは捨てても致命傷にはなりません。

最も費用対効果が高い部分だと思います。

問題Ⅳ-2:受験部門の専門技術知識 ── ここが本当の壁

そして、問題Ⅳ-2です。

前回の記事でも書きましたが、私が2度の受験でどちらも苦しんだのは、ここでした。

2021年(鋼構造及びコンクリート)では、部門の中核である橋梁関係が問われ、「ちょっとの試験勉強ではまったく太刀打ちできない」と感じました。

このときは一般的なコンクリートの設問を拾って凌ぎ、他で貯金を作って合格しています。

2025年(上水道)では、半分ほどが何を問われているのか分からないという状態でした。

当時の記録に、私はこう書いています。

問題Ⅳ-2は1日程度の勉強では太刀打ちできないので、わかりやすいところだけ、事前に解いて覚えた。 確実に合格をめざすのであれば、問題Ⅳ-2が重要となると思う。

ここの難しさは、付け焼き刃が効かないという点にあります。

問題Ⅲのように事前公表があるわけでもなく、Ⅳ-1のように過去問がそのまま出るわけでもない。

その部門の実務をどれだけ積んできたかが、そのまま出ます。

逆に言えば、その部門で普段から設計をしている方にとっては、それほど恐れる部分ではありません

私が2021年に凌げたのも、土木の共通基盤に近い部門だったからです。

全体像:どこに時間を使うべきか

試験の全体像

以上を、準備の性格ごとに整理するとこうなります。

科目事前に範囲が分かるか短期集中で伸びるか主な準備
問題Ⅰ(業務経験)分かる(出願時に確定)伸びる暗記に2日
問題Ⅱ(法制度・一般・倫理)一部分かるやや伸びる過去問+最新動向
問題Ⅲ(管理技術力)分かる(テーマ事前公表)伸びる骨子準備
問題Ⅳ-1(土木基礎)分かる(過去問傾向)伸びる過去問1周
問題Ⅳ-2(部門専門)分かりにくい伸びにくい実務の蓄積

この表から見えてくることが、2つあります。

ひとつ目。

大半の科目は、短期間の準備で戦えます。

業務経験は暗記、問題Ⅲは骨子準備、Ⅳ-1は過去問。

範囲が見えているものばかりです。

私が2021年に短期間で合格できたのは、これが理由です。

ふたつ目。

問題Ⅳ-2だけが、直前の努力では動かせません。

ここは受験する部門と、自分の実務経験がどれだけ重なっているかで決まります。

つまりRCCMの準備計画は、こう立てるのが合理的です。

まず問題Ⅳ-2で自分がどれくらい取れそうかを見積もる。

そこが薄いと分かったなら、他の科目で確実に上積みできるよう、早めに動く。

私が2025年に失敗したのは、この見積もりでした。

2021年に短期間で合格した成功体験があったため、同じやり方で通用すると考えてしまった。

実際には部門が変わり、問題Ⅳ-2の埋め合わせができる余力がなくなっていたのです。

あと1〜2点というのは、そういう差です。

出願から受験までのスケジュールにも注意を

最後に、実務的な話を少しだけ。

RCCMは、申込の手続きが2段階に分かれています。

建設コンサルタンツ協会への受験申込(Web申請+書類の郵送)と、プロメトリック社への受験予約です。

この2つを済ませて、はじめて受験できます。

特に注意したいのが、受験予約は希望日の60日前から可能という点です。

CBT会場ではRCCM以外の試験も実施されているため、希望日が近づくほど予約が取りにくくなります。

予約可能日を意識して早めに動くのが賢明です。

また、受験申込には卒業証明書などの原本(送付前1年以内発行のもの)が必要で、取り寄せに日数がかかる場合があります。

会社の証明印も必要です。

申込期間に入ってから動き出すと間に合わない可能性があるので、逆算しておいてください。

申込書は郵送前であれば何度でも修正できますが、郵送後は一切変更できません

ここも押さえておきたいところです。

次回:技術士の学習は、どこまで効くのか

次回は、このシリーズの中心となる話を書きます。

技術士の学習が効くのは問題Ⅲ。効かないのは問題Ⅳ-2。

なぜそうなるのかを、論文の構造と出題テーマの両面から具体的に見ていきます。

今回触れた「図表が使えない」という制約が、どう影響するのかも含めて。

技術は、あなたのなかにすでにあります。

足りないのは、それを答案という形に翻訳する型と、どこに時間を使うかの見極めだけです。

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技術士 必須科目Ⅰ向けに作った点検表です。
このシリーズで書いてきたとおり、RCCMの問題Ⅲと
必須科目Ⅰは論文の骨格が同じですから、
問題Ⅲの骨子づくりにもそのまま使えます。

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※本記事は筆者個人の経験と見解に基づくものであり、特定の団体の公式見解を示すものではありません。制度に関する記述は令和8年度の受験の手引に基づいていますが、試験の構成・日程・手数料等は年度によって変更される場合があります。受験にあたっては、必ず実施機関の公表する最新の受験案内をご確認ください。

技術士(建設部門)|沖縄在住の建設コンサルタント/ビジネスコーチ。2部門合格の経験をもとに、地方で働く技術者の資格取得と、輝くキャリアづくりを伴走支援しています。

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