
前回、技術士の学習が効くのは問題Ⅲだという話を書きました。
今回は、その問題Ⅲを実際どう書くかに入ります。
私は2度のRCCM受験で、問題Ⅲだけは一度も詰まりませんでした。
2021年は「つらつらと書けた」という感覚でしたし、2025年も1,550字を書き切っています。
落ちた年でさえ、問題Ⅲは手ごたえがありました。
その経験から言えることを、順にお伝えします。
なお本記事では、特定年度の設問内容や私自身の答案そのものは扱いません。
どの年度にも通用する型と、CBTならではの書き方の工夫に絞ってお話しします。
まず、問題Ⅲの構造を理解する
問題Ⅲは「管理技術力」を問う記述式の科目です。
そして最大の特徴は、出題テーマが事前に公表されることにあります。
これがどれほど有利か、技術士と比べると分かります。
技術士の必須科目Ⅰでは、その年に何が問われるかを政策動向から推し量るしかありません。
作問時期に公表された最上位計画を追いかけ、当たりをつけて準備する。
外れることもあります。
RCCMでは、範囲が示されています。
公表されたテーマの中から出る。
この条件下で準備できるのですから、やるべきことは明確です。
準備の基本方針:全部やらない
公表されるテーマは複数ありますが、すべてに骨子を用意する必要はありません。
私は2025年、2つに絞って準備しました。
結果として、そのうちの1つが出題されています。
2021年も同様に、書けそうなテーマに絞って骨子を作っていました。
絞る基準は、シンプルです。
基準①:自分の実務経験から具体例を出せるか
論文で最も差がつくのは、具体性です。
どのテーマなら「例えば私が携わった○○のような場面では」と書けるか。
ここを起点に選びます。
基準②:技術士の学習で追いかけてきた領域か
インフラの老朽化、防災・減災、DXや新技術、カーボンニュートラル、担い手確保。
こうした領域は、技術士の必須科目Ⅰで扱う内容とほぼ重なります。
すでに材料を持っているテーマを選ぶのが合理的です。
基準③:似た構造で書けるテーマをまとめる
これは応用ですが、複数のテーマが「同じ課題構造で書ける」場合があります。
たとえば担い手不足を軸にすれば、複数のテーマで似た骨子が使えることもある。
そうすると、準備1回分で2テーマをカバーできます。
私が短期間で対応できたのは、この絞り込みがあったからです。
準備の量ではなく、絞り方で決まると考えてください。

骨子の作り方:技術士の型をそのまま使う
絞り込んだテーマについて、骨子を用意します。
ここで使うのが、技術士の学習で身につけた型です。
前回も触れましたが、記述式論文の骨格は共通しています。
① 現状を把握する
・そのテーマについて、いま何が起きているのか。
・数値や政策の動向を含めて示します。
② 問題点を特定する
・あるべき姿と現状のギャップは何か。
・ここが「問題点」です。
③ 要因を分析する
・ なぜそのギャップが生じているのか。
・背景・原因に踏み込みます。
④ 課題を設定する
・ 問題を解決するために、為すべきことは何か。
・これが「課題」です。
⑤ 解決策を示す
・課題に対して、具体的にどう取り組むか。
・技術名・制度名まで落とし込みます。
ここで注意したいのが、④と⑤を混ぜないことです。
課題の段階で解決策の言葉を使ってしまうと、後の解決策の章で書くことがなくなり、同じことを二度書く羽目になります。
「〜を確保することが課題である」と書き、手段は解決策の章に置く。
この切り分けができているかどうかで、答案の見え方がかなり変わります。
このシリーズで扱っている論文の型を、20項目の点検表にまとめています。
問題Ⅲの骨子を作ったあと、これで見直すと抜けが分かります。
公式LINEで配布していますので、よければお使いください。
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ここからがRCCM特有:図表が使えないという制約
さて、本題です。
前回触れたとおり、RCCMはCBT方式で、記述問題に図や表を使えません。
受験の手引にも明記されています。
設問への解答はキーボードを利用する方法のみですので、記述問題の解答には、図、表の利用は出来ず、文字による解答作成だけとなります。
技術士の答案なら、3つの課題を表で並べたり、手順をフロー図で示したりできます。
RCCMでは、それができない。
これは、思っているより大きな違いです。
図表は情報を圧縮する道具ですから、それが使えないということは、同じ内容を書くのに文字数が余計にかかるということでもあります。
対策は、準備の段階で手を打っておくことです。
工夫①:並列は「番号+接続詞」で処理する
表で並べていた項目は、番号と接続詞で列挙します。
課題は3つある。第一に、○○である。〜(説明)〜。第二に、△△である。〜(説明)〜。第三に、□□である。〜(説明)〜。
冒頭で「3つある」と宣言してから展開すると、読み手が構造を把握できます。
採点者に構造を伝えるのが目的ですから、図の代わりに言葉で骨組みを示すわけです。
工夫②:見出し的な一文を、段落の頭に置く
図表がない分、文章のどこに何が書いてあるか分かりにくくなります。
そこで、各段落の冒頭にその段落の主題を示す一文を置きます。
次に、維持管理体制の観点から述べる。
こうした一文があるだけで、読み手の負担がぐっと減ります。
技術士の答案で見出しが果たしていた役割を、文章で代替するイメージです。
工夫③:対比は明示的な接続語で示す
図なら左右に並べて済むものも、文章では言葉で示す必要があります。
「一方」「これに対し」「従来は〜であったが、現在は〜」といった語を、意識的に使います。
工夫④:準備段階から、文章だけで書く練習をする
これが一番大切かもしれません。
頭の中で図を描いて、それを本番で文章に変換するという作業は、思いのほか時間を食います。
骨子を作る段階から、箇条書きや図ではなく文章の形で組み立てておくと、本番で迷いません。
私が2021年に「つらつらと書けた」と感じたのは、骨子が既に文章の形になっていたからだと思います。

字数について
記述式である以上、分量も評価に関わります。
私の場合、2025年は1,550字ほど書きました。
感想としては「まぁなんとなく書けた」程度でしたが、少なくとも分量で不足はしていません。
指定字数がある場合、上限に対して極端に少ないのは避けたいところです。
書くことがなくて埋まらないのは、準備不足がそのまま出ている状態と言えます。
逆に、指定用語やキーワードが示されている場合は、それらを漏れなく使うこと。
私は2025年、示されたキーワードをすべて使い切りました。
使わなければ、そこは評価されようがありません。
時間配分の考え方
試験Bは130分で、問題Ⅲと問題Ⅳの両方を解きます。
配分の考え方は、問題Ⅲを先に固めるか、択一を先に片づけるかの二択です。
私は択一を先に処理する派でした。
択一は「分かるか分からないか」で決着がつくので、時間が読めます。
先に終わらせておけば、残り時間をすべて記述に充てられる。
記述の途中で時間切れになるより、精神的にも楽です。
ただしこれは好みの問題でもあります。
ご自身が本番でどちらに時間を取られやすいか、過去問を解く段階で把握しておいてください。
問題Ⅲは「守り」ではなく「攻め」の科目
最後に、考え方の話をひとつ。
RCCMの問題Ⅲは、一般に「最大の関門」と言われます。
記述式に慣れていない方にとっては、そのとおりでしょう。
しかし技術士の学習を積んだ方にとって、問題Ⅲは最も点が読める科目です。
テーマは事前に公表され、型は既に持っている。
材料も重なっている。準備した分だけ、確実に返ってきます。
前回書いたとおり、直前の努力で動かせないのは問題Ⅳ-2だけです。
だからこそ、動かせる問題Ⅲでは、しっかり上積みしておく。
これが、私が2021年に短期間で合格できた理由であり、2025年に1〜2点差まで迫れた理由でもあります。
裏を返せば、問題Ⅲで稼げていなければ、2025年の私は1〜2点差どころではなかったはずです。
次回は、私が2度の受験で「最も時間を取られた」と感じた問題Ⅰ(業務経験の記述)を扱います。
持ち込み一切不可という条件下で、どう暗記に向き合うか。実践的な話になります。
- 第1回:RCCMは技術士の勉強だけで受かるのか|合格した年と、1〜2点差で落ちた年の違い
- 第2回:RCCM試験の全体像|4つの科目のうち、どこで差がつくのか
- 第3回:技術士の学習が効くのは問題Ⅲ、効かないのは問題Ⅳ-2
- 第4回:問題Ⅲの攻略|技術士の型を、図表なしで持ち込む方法(本記事)
- 第5回:問題Ⅰ(業務経験)の暗記術|「流れ」を覚えて自分の言葉で埋める
- 第6回:CBT試験当日の実務|受付・持ち物・時間配分
- 第7回:RCCMの先に技術士を置く|順序を逆にすると二度手間になる
技術は、あなたのなかにすでにあります。
足りないのは、それを答案という形に翻訳する型と、どこに時間を使うかの見極めだけです。
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■ 論文セルフチェックリスト20
技術士 必須科目Ⅰ向けに作った点検表です。
このシリーズで書いてきたとおり、RCCMの問題Ⅲと
必須科目Ⅰは論文の骨格が同じですから、
問題Ⅲの骨子づくりにもそのまま使えます。
観点を先に述べているか。課題と解決策が
二度書きになっていないか。20項目で点検できます。
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※本記事は筆者個人の経験と見解に基づくものであり、特定の団体の公式見解を示すものではありません。本記事では特定年度の試験問題の内容は扱っていません。学習期間や難易度の感じ方には個人差があり、本記事の内容は合格を保証するものではありません。制度に関する記述は令和8年度の受験の手引に基づいていますが、内容は年度によって変更される場合があります。受験にあたっては、必ず実施機関の公表する最新の受験案内をご確認ください。
技術士(建設部門)|沖縄在住の建設コンサルタント/ビジネスコーチ。2部門合格の経験をもとに、地方で働く技術者の資格取得と、輝くキャリアづくりを伴走支援しています。

