夕暮れのオフィスで窓の外を見る建設技術者の後ろ姿

このシリーズも、今回で最終回です。

ここまで6回にわたって、RCCM試験の実務的な話を書いてきました。

科目ごとの性格、問題Ⅲの書き方、業務経験の暗記、CBT当日の注意点。

私自身の失敗も含めて、できるだけ具体的にお伝えしたつもりです。

最後に、一歩引いた話をさせてください。

RCCMに合格した、その次にどうするか。

私が本当に書きたかったのは、実はここです。

「合格おめでとうございます」の、その先

RCCMに合格すると、いくつかのことが起こります。

管理技術者や照査技術者として業務を担えるようになる。

会社からの要請に応えられる。

名刺に書ける肩書きが増える。

周囲からの評価も変わるでしょう。

これは、まぎれもない前進です。

私自身、2021年に合格したときは素直に嬉しかった。

そして同時に、ある種の落ち着きが訪れます

やるべきことをやった。

求められていた要件を満たした。

しばらくは、資格のことを考えなくていい。

CPDの登録は必要ですが、それは講習を受ければ済む話です。

この落ち着きが、曲者です。

私が見てきた、止まってしまう人

建設コンサルタントの現場で長く働いていると、こういう方をよく見かけます。

RCCMを2部門、3部門と持っている。

実務は間違いなくできる。

現場での判断も的確で、後輩からも頼られている。

それでも技術士は持っていない。

理由を聞くと、だいたい似た答えが返ってきます。

「もう管理技術者はやれてるから」

「いまさら勉強する時間が取れない」

「技術士は難しいから」

どれも、よく分かります。

私も総合技術監理部門を途中で断念した人間ですから、時間が取れないという事情は身に沁みています。

ただ、もったいないとも思うのです。

なぜなら、この方たちは技術士に最も近い場所まで来て、そこで止まっているからです。

RCCMの学習は、技術士の途中まで来ている

第3回で書いたことを、逆から見てみます。

技術士の学習は、RCCMの問題Ⅲに強く効く。

論文の型が同じで、テーマが重なるからです。

これは、逆方向にも一部成り立ちます。

RCCMの問題Ⅲに取り組んだ方は、すでにこういう経験をしています。

  • 政策動向を調べ、キーワードを整理した
  • 課題を立て、解決策を並べる論文を書いた
  • 限られた時間で、指定字数を埋め切った
  • インフラ老朽化、防災、DXといった領域に触れた

これは、技術士第二次試験の必須科目Ⅰの準備と、かなりの部分が重なります。

つまりRCCMを取った直後というのは、技術士に向けた助走が、すでに半分ほど終わっている状態なのです。

ここで止まると、その助走は徐々に失われていきます。

数年後に「やっぱり技術士を」と思ったとき、また同じ領域を、最初から学び直すことになります。

ただし、順序としては逆のほうが効率的

とはいえ、正直に書きます。

理想の順序は、技術士が先です。

理由は、これまで書いてきたとおりです。

技術士の学習で身につけた型は、RCCMの問題Ⅲにそのまま持ち込めます。

私が2021年に2日程度の準備で合格できたのは、それが理由でした。

逆にRCCMを先に取ると、同じ領域をもう一度、より深く学び直すことになります。

RCCMの問題Ⅲで求められる深さと、技術士の必須科目Ⅰで求められる深さは、同じではありません。

RCCMのために覚えた知識のレベルでは、技術士には届かないのです。

無駄にはなりません。

土台にはなります。

ただ、二度手間ではあるということです。

それでも、いまRCCMを持っている方へ

では、すでにRCCMを取った方はどうすればいいのか。

いまが、いちばん近い。

これに尽きます。

RCCMの学習で触れた政策動向、書いた論文、整理したキーワード。

それらの記憶が新しいうちに動くほうが、数年後にゼロから始めるより、はるかに楽です。

具体的には、こういう順序が現実的だと思います。

① 技術士第一次試験を受ける

まだ技術士補の資格をお持ちでなければ、ここからです。

RCCMの受験資格を満たしている方なら、実務経験は十分にあるはずです。

② 必須科目Ⅰの過去問を、1年分読んでみる

解かなくて構いません。

読むだけでいいのです。

RCCMの問題Ⅲと比べて、何が違うのか。

どこまでの深さが求められているのか。

それが分かれば、必要な学習量の見当がつきます。

③ 業務経歴と、詳細に述べる業務を考え始める

技術士第二次試験は、筆記だけではありません。

願書の段階から準備が始まります。

ここは早く動くほど有利です。

私の場合:一度落ちてから受かった

参考までに、私自身の話も書いておきます。

技術士補を取得し、実務経験4年を満たしてすぐ、私は第二次試験に挑戦しました。

会社の新年会で「一発で技術士を取ります」と宣言までして。

一度目は、不合格でした。

宣言した手前、格好がつきません。

それでも二度目で合格し、その後、平成31年には2つ目の部門となる港湾にも合格しました。

さらに総合技術監理部門を目指しましたが、コロナ禍もあって途中で断念しています。

そして令和7年、RCCMの上水道では1〜2点差で落ちました。

私は、決して順風満帆に資格を取ってきた人間ではありません。

落ちた回数のほうが、むしろ記憶に残っています。

それでも申し上げたいのは、一度落ちても、次があるということです。

技術士は年1回の試験ですから、落ちれば1年待つことになります。

それでも、挑戦を続けた人だけが合格しています。

資格の先にあるもの

最後に、少しだけ違う話をさせてください。

技術士を取ると何が変わるのか。

管理技術者になれる、という話であれば、RCCMでも足ります。

実務上、それで困る場面は多くありません。

では、なぜ技術士なのか。

私は、技術者としての自分の立ち位置が変わることだと思っています。

技術士は名称独占の資格です。

業務独占ではありませんから、資格を持っているだけで仕事が舞い込むわけではありません。

ただ、独立した第三者の立場から、公平な視点で技術を提供するという立場が、制度上は開かれています。

会社の看板の中で管理技術者を務めることと、

自分の名前で技術的判断に責任を持つことは、少し違います。

後者の可能性を持てるかどうか。

そこが分かれ目ではないかと感じています。

地方で働いていると、なおさらそう思います。

周りに指導者がいない。

学ぶ機会が少ない。

それでも実務では一人前の判断を求められる。

そういう環境にいる技術者こそ、自分の名前で立てる資格を持つ意味があるのではないでしょうか。

シリーズを終えるにあたって

7回にわたってお付き合いいただき、ありがとうございました。

このシリーズでは、合格した話だけでなく、落ちた話や、失敗した話も書いてきました

申込書の郵送を忘れて1年を失ったこと。

専門から離れた部門を選んで1〜2点差で落ちたこと。

総合技術監理を途中で断念したこと。

書いていて、決して気持ちのいいものではありません。

それでも書いたのは、うまくいった話だけでは、参考にならないと思ったからです。

RCCMを目指す方には、確実に合格していただきたい。

そのうえで、そこを終点にせず、次を見ていただきたい。

それが、このシリーズを通じてお伝えしたかったことです。

技術は、あなたのなかにすでにあります。

足りないのは、それを答案という形に翻訳する型と、どこに時間を使うかの見極めだけです。

そして、その先へ進もうと決めることだけです。

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技術士(建設部門)|沖縄在住の建設コンサルタント/ビジネスコーチ。2部門合格の経験をもとに、地方で働く技術者の資格取得と、輝くキャリアづくりを伴走支援しています。

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RCCMの先に技術士を置く|順序を逆にすると、二度手間になる” に対して1件のコメントがあります。

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