「立場が上なら、人としても上なのか」

もちろん、そんなはずはありません。

それでも仕事をしていると、役職や会社の規模、発注する側と受注する側といった立場の違いが、いつの間にか人としての上下にすり替わってしまう場面があります。

建設コンサルタントとして20年働いてきた私も、その空気に悩んだ一人です。

今日は、沖縄で暮らす私が感じている「力の差」と、建設コンサルタント業界に残る上下関係、そして、自分の未来を変えるために考えてきたことを書きます。

沖縄で暮らしていると、「力の差」を考える

2026年10月、那覇市で起きた事件で、米海兵隊員が強盗殺人の容疑で逮捕されました。

報道によると、本人は容疑を否認しており、捜査が続いています。

亡くなられた方のご冥福を、心からお祈りします。

沖縄で暮らす一人として、強い憤りと悲しみを感じました。

私は普段、政治的なことを発信するのは控えています。

それでもニュースやSNSに触れると、米軍基地、県政、所得の格差、子どもの貧困など、沖縄が抱える問題が繰り返し取り上げられています。

そのたびに私の中に浮かぶのが、アメリカと日本、日本本土と沖縄のあいだにある「力の差」です。

もちろん、単純に序列をつけられる話ではありません。

それぞれに歴史と事情があり、一つの式で説明できるものではないと思います。

県内に目を向ければ、沖縄本島と離島のあいだにも、交通、医療、教育、仕事の面で差があると感じます。

立場や住む場所が違うだけで、声の届き方や、選べる道の数まで変わってしまう。

私はそこに、「見えにくい上下関係」のようなものを感じることがあります。

建設コンサルタント業界にも、上下関係は残っている

話を、私の仕事に戻します。

建設コンサルタントの業界にも、立場による力の差があります。

  • 発注者と受注者
  • 大手のコンサルタントと、地方の中小のコンサルタント
  • ベテランの技術者と、若手の技術者
  • 管理職と、担当者

契約のうえでは対等でも、実際の仕事では、発注する側の意向が強くなりやすい場面があります。

会社の規模によって、受けられる業務、人の数、入ってくる情報、学べる環境にも差が出ます。

社内では経験のある人の意見が優先され、若手が疑問を口にしにくいこともあります。

建設の世界には、いまも体育会系の空気が残る職場があります。

厳しい指導そのものを否定するつもりはありません。

安全や品質を守るために、はっきりした指示や厳しい確認が必要な場面はあります。

ただ、仕事への指摘と、人格の否定は別のものです。

立場の差を使って相手を萎縮させたり、必要以上に高圧的な態度を取ったりすることは、指導ではありません。

私も、人格を否定するような言葉に悩んだ

会議室の長机の片側に書類が高く積まれ、反対側には小さなノートが一冊だけ置かれている

新人のころ、上司によく聞かれました。

「大学で習っただろ?」

私の答えは、いつも「習っていません」でした。

「使えないやつだ」と言われたこともあります。

その後も、社内や発注者からの高圧的な態度に悩んだ時期がありました。

仕事の中身ではなく、自分自身を否定されたように感じる言葉を受けたこともあります。

悔しかったです。

言い返せない自分が情けなくて、いたたまれない気持ちになりました。

「なぜ、自分だけがこんな思いをしなければならないのか」

「もっと力があれば、違う対応ができたのではないか」

そう考えた夜は、一度や二度ではありません。

上下関係はどの業界にもある、と言われるかもしれません。

それでも、パワーハラスメントまで「仕方がない」で済ませてよいとは思いません。

被害を受けた人に責任があるわけではありません。

黙って耐えることが、成長でもありません。

心や体に危険を感じるときは、まず自分を守ってください。

言われたことを記録に残す。

社内の窓口や、労働局の総合労働相談コーナーなど社外の窓口に相談する。

異動や転職も、自分を守る立派な選択です。

過去と他人ではなく、未来と自分に力を使う

私は、業界全体や社会全体を、一人で変えられるとは思っていません。

変えるために声を上げる人の活動は、とても大切です。

そのうえで私自身は、変わるか分からない相手に時間と気力を使い続けるより、自分が変えられる範囲に力を注ぎたいと考えるようになりました。

「過去と他人は変えられない」という言葉があります。

起きたことは変えられません。

他人を思いどおりに動かすこともできません。

でも、これから身を置く環境と、自分が取る行動は変えられます。

仕事を変える。

働き方を変える。

付き合う人を変える。

学ぶ分野を変える。

私の場合は、会社と話し合って働き方を週4日に変え、自分の事業を始めました。

小さな選択でも、環境が変わると、考え方や行動は少しずつ変わっていきました。

変化には不安がつきものです。

いまの環境が苦しくても、慣れた場所を離れるのは怖い。

それは自然なことです。

それでも、嫌だったことや悔しかったことを抱えたまま、「このままでは終わりたくない」と思うなら、自分から一歩動くしかありません。

私にとって、変化は成長の入口でした。

建設コンサルタントに技術士を勧める理由

成長する方法は、資格だけではありません。

新しい業務に手を挙げる。

社外の勉強会に出てみる。

信頼できる人とつながる。

転職や独立を考える。道はいくつもあります。

そのうえで、建設コンサルタントとして働く人には、きっかけの一つとして技術士を目指してほしいと思っています。

技術士法には、技術士の責務が定められています。

  • 信用失墜行為の禁止(第44条)
  • 公益確保の責務(第45条の2)
  • 資質向上の責務(第47条の2)

技術士になれば、必ず仕事ができるようになるわけではありません。

資格を持つ人が、全員人格者になるわけでもありません。

それでも、技術士に求められる資質能力には、専門の知識や問題を解決する力に加えて、技術者倫理も含まれています。

試験勉強を通して、安全や環境、社会への影響、技術者としての責任を考える時間は、確実に増えます。

私自身、技術士を目指す途中で、目の前の作業だけでなく、業務全体や社会とのつながりを見るようになりました。

合格したあとは、付き合う人や入ってくる情報も変わりました。

社外の技術者と話す機会が増え、自分の考えを言葉にする度胸も、以前よりついたと感じています。

技術士は、上下関係やパワーハラスメントから自動的に守ってくれる資格ではありません。

けれど、知識と視野を広げ、社外とのつながりをつくり、自分が選べる道を増やす手段にはなります。

資格は「取ること」より、その後にどう使うか

上下関係やパワーハラスメントは、残念ながら、すぐにはなくならないと思います。

だからといって、我慢し続ける必要はありません。

相手の言動は変えられなくても、自分の対応力は高められます。

環境を選び直すことも、立場を変えることもできます。

技術士に限らず、資格はそのための道具の一つです。

大切なのは、合格をゴールにしないことです。

資格を通して、何を学ぶのか。

誰とつながるのか。

仕事と人生の選択肢を、どう増やすのか。

そこまで考えて使ったとき、資格は自分の未来を変える力になるのだと思います。

あなたへの問いかけ

いま、あなたが力を使っているのは、変えられないものですか。

それとも、変えられるものですか。

もし一つだけ変えられるとしたら、まず何から変えますか。

過去と他人を変えようとして消耗するより、未来と自分のために力を使う。

私はこれからも、その選択を続けていきます。


最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

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技術士という資格の中身をもっと知りたい方は、こちらもどうぞ。

▶ 技術士のディスクロージャー|本当に最高峰か

参考資料

  • 防衛省「在日米軍司令官への米海兵隊上等兵逮捕に関する申入れ後の防衛大臣臨時記者会見」
  • 技術士法(e-Gov法令検索)
  • 文部科学省「第9期技術士分科会で検討する課題についての関係条文」

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