試験後の電車で帰宅する状況

技術士第二次試験、本当にお疲れさまでした。

まずは、試験を無事に終えた安堵感でいっぱいだと思います。

ご自身の心と体をしっかり休めて、そして何より、受験を支えてくれたご家族に、たくさん恩返しをしてください。

私も受験生時代、家族との時間を犠牲にして勉強していましたから、この時期の「ありがとう」がどれほど大切か、身に染みて分かります。

なお、休む前に一つだけ。再現論文だけは、記憶が新しいうちに作成しておいてください

詳しくは別の記事に書いていますので、まだの方はそちらを先にどうぞ。

さて、本題です。試験が終わると、生活はお仕事中心に戻っていきます。

でも、実は試験はまだ続いています。

筆記試験の合格発表は例年秋(令和8年度は11月上旬の予定。正確な日程は日本技術士会の公式サイトでご確認ください)。

この記事では、私の経験から、試験後から合格発表までの期間のおすすめの過ごし方をお伝えします。

結論:ここで勉強をやめない

最初に、一番大事なことを言います。

ペースは落としていい。でも、勉強をやめないでください。

理由はシンプルです。まだ、合格と決まっていないからです。

もし結果が不合格だった場合、多くの人は発表後、早い人でも秋から、大半の人は来年の受験申込み後にようやく勉強を再開します。

すると何が起きるか。

またゼロからのスタートを繰り返すのです。

試験前のあなたには、積み上げてきた武器がありました。

問題文の分析力、課題設定からロジカルに骨子を組み立てる型、自分の必勝パターンの書き方。

これらは数ヶ月の休みを挟むと、驚くほど錆びつきます。

これは意志の弱さではなく、脳の仕組みです。

心理学者エビングハウスの忘却曲線が示す通り、人の記憶は復習しない限り、時間とともに急速に失われます。

逆に、間隔を空けながらでも繰り返し触れ続けた記憶は、長期記憶として定着することが分かっています(分散学習の効果)。

つまり、週に一度でも触れ続けることが、ゼロからやり直す未来の自分を救うのです。

甲子園を目指す球児も、ワールドカップを戦うサッカー選手も、大きな大会が終わった直後から次に向けて練習を再開します。

彼らは知っているのです。止まった体を戻すコストが、動き続けるコストよりはるかに大きいことを。

もちろん、仕事をしながらの受験です。

業務の繁忙期や災害対応で、思うように時間が取れない時期があることは、同じ業界にいる私が一番よく分かっています。

ただ、あえて言わせてください。そのような環境で受験しているのは、あなただけではありません。

ここで試されているのは、テクニックではなく「本当に技術士になりたいのかどうか」です。

具体的な勉強方法:ハードルを極限まで下げる

継続した勉強をする状況

とはいえ、試験前と同じ時間とエネルギーで勉強を続けるのは酷です。それは私も求めません。

大切なのは、自分でペースをコントロールすることです。

具体的には、小さなハードルを自分で設定してください。

一日5分の白書読み。朝の30分だけの骨子練習。週末の1時間だけの論文一本。

行動科学の研究では、行動を続ける最大のコツは「意志の力」ではなく「行動を小さくすること」だと繰り返し示されています。

歯磨きを毎日続けられるのは、意志が強いからではなく、ハードルが低く習慣になっているからです。勉強も同じ構造にしてしまえばいいのです。

そしてもう一つ。

この時期は、試験を通じて感じた自分の長所を伸ばすことに使ってください。

弱点の克服は苦しく、続きません。

「骨子を組むのは得意だった」なら骨子の練習を、「キーワードの引き出しに自信がついた」なら知識の上積みを。

得意を磨く小さな一歩の積み重ねが、自信になり、力になり、そのまま合格までの道になります。

AI時代にこそ「自分の頭で考える」

いま、勉強環境は劇的に変わりました。

NotebookLMにPDF資料や技術指針を読み込ませて要約させたり、AIに解答論文を作成させたりすることが、誰にでもできます。私自身、AIは日常的に活用していますし、使うこと自体は大賛成です。

ただし、一つだけ原理原則があります。

AIの出力をそのまま受け入れず、自分の頭で咀嚼すること。そして一次情報を自分で取りに行くこと。

理由は明確で、試験会場にAIは持ち込めないからです。

本番であなたを支えるのは、自分の頭の中にある知識と、それを骨子や文章に組み立てる力だけです。

AIの答えを読んで分かった気になるのと、白書や技術指針の原文に当たり、自分の言葉で骨子を書けるのとでは、天と地ほどの差があります。

そして、この力を身につけるには、絶対的に「時間」がかかります。

ここで一つ、当たり前だけれど忘れがちな事実を。

大富豪であろうと、世界的なスターであろうと、私のような一般人であろうと、1日24時間だけは完全に平等です。

時間は無料で配られているせいで価値を見くびられがちですが、お金では買えない、最も有限な資源です。

合格発表までの数ヶ月をどう使うかは、その人の未来をどう使うかと同じ意味を持ちます。

一人でやらない:意志ではなく、仕組みで続ける

ここまで読んで、「よし、続けよう」と少しやる気が上がった方も多いと思います。

その上で、断言します。多くの人は、やりません。

どんなに良い話を聞いても、人は行動しません。

あなたの意志が弱いからではありません。

私たちの脳は、変化を避けて現状を維持するようにできており、「やらなくてもいい理由」を作る天才だからです。行動科学では、モチベーションに頼った行動変容はほぼ失敗し、環境と仕組みを変えた人だけが続くことが知られています。

ですから、意志ではなく、仕組みと環境で対応してください。

その最も効果的な方法が、「一人でやらない」ことです。

人は、誰かに見られている・誰かと約束していると、行動の継続率が大きく上がります。ダイエットが一人では続かないのに、トレーナーがつくと続くのと同じ原理です。

具体的には、こんな方法があります。

周りの技術士の先輩に添削をお願いしてみる。知り合いの受験生と、週に一度お互いの進捗を報告し合う。スキヤキ塾のような受験支援の場を活用する。

方法は何でも構いません。「自分の勉強を知っている人」を最低一人つくること。

それだけで、合格発表までの数ヶ月の景色が変わります。

今日からやることチェックリスト

  • 再現論文をまだ作っていなければ、今週中に作成する
  • 「一日5分」「週末1時間」など、自分の小さなハードルを1つ決める
  • 試験で感じた自分の長所を1つ書き出し、それを伸ばす教材を決める
  • 勉強の進捗を報告し合える相手を一人見つける(先輩技術士・受験仲間・講座など)
  • 筆記試験合格発表の日程を日本技術士会の公式サイトで確認しておく

まとめ:発表の日、胸を張って立つために

合格発表の日、結果がどちらであっても、「この数ヶ月、自分なりに歩みを止めなかった」と言える人は強い。

合格していれば、そのまま口頭試験対策に滑らかに入れます。

万が一の結果でも、来年に向けたスタートラインが、他の誰よりも前にあります。

つまり、この期間の過ごし方に、負けはありません。

ペースは小さくていい。歩みを止めないこと。それだけです。


最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

「一人でやらない」の最初の相手として、私を使っていただいても構いません。

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