同じ構成を繰り返し書き込んだノートのページ

RCCMの勉強で、いちばん時間を取られる科目はどれだと思われますか。

記述式の問題Ⅲでしょうか。

それとも、専門技術を問う問題Ⅳ-2でしょうか。

私の場合、答えは問題Ⅰ(業務経験の記述)でした。

2021年の記録にも、2025年の記録にも、同じことを書いています。

「一番大変だったのは経歴の暗記」と。

今回は、この地味だけれど確実に時間を食う科目に、どう向き合うかをお話しします。

なぜ、業務経験の記述に時間がかかるのか

理由は単純です。

資料を一切持ち込めないからです。

受験の手引には、こう明記されています。

受験会場へは、筆記用具などの私物持ち込みは一切認められません(腕時計、ペットボトルなども禁止)。

つまり、自分が過去に担当した業務について、その場で一から書き起こすことになります。

手元にメモはありません。

業務名も、発注者も、自分が何をしたのかも、すべて頭の中から取り出す必要があります。

自分がやった仕事なのだから覚えているはずだ、と思われるかもしれません。

ところが、いざ書こうとすると出てこないのです。

何年も前の業務なら、なおさらです。

これが、時間を食う理由です。

出発点は、出願の段階にある

ここで、極めて重要な前提を確認しておきます。

受験の手引には、こう書かれています。

受験の際に経験業務として記述する業務は、建設コンサルタント等業務実績証明書に記載したものより選択してください。

つまり、試験当日に何を書くかは、出願の時点ですでに決まっているということです。

受験申込のときに提出した業務実績証明書。

あの中に書いた業務の中から選ぶことになります。

これは、裏を返せば出願段階が最大の設計ポイントだという意味でもあります。

業務実績は各年度3件が上限ですが、すべての欄を埋める必要はありません。

近年に実績がない場合は、最も古くて8年前まで、かつ連続した4年間という条件で、記入年度を変更できます。

だとすれば、考えるべきことははっきりしています。

「試験当日に書きやすい業務を、実績証明書に載せておく」

受験する部門との関連が明確で、自分が主体的に関わり、内容をよく覚えている業務。

そういう業務を意識して選んでおけば、当日の負担がまったく違います。

逆に、関与が浅い業務や、内容をあまり把握していない業務を並べてしまうと、後で自分が困ります。

私が2025年に苦労したのは、まさにこの部分でした。

書き慣れた領域でなかったため、用語を一語ずつ確かめながら組み立てることになり、暗記に通常以上の時間がかかりました。

申込書を作るときに、試験当日のことまで考えておく。

これが第一のコツです。

一語一句を覚えようとしない

さて、実際の暗記です。

ここで多くの方が陥るのが、完成した文章をそのまま丸暗記しようとするやり方です。

私も最初はそうしました。

そして、うまくいきませんでした。

理由は2つあります。

ひとつは、単純に量が多いこと。

数百字から千字を超える文章を、一字一句正確に再現するのは、相当な負荷です。

もうひとつは、途中で止まると復旧できないこと。

丸暗記は一本の糸のようなもので、どこか一箇所を忘れると、そこから先が出てこなくなります。

本番でこれが起きると、頭が真っ白になります。

では、どうするか。

流れを覚えて、細部は試験中に自分の言葉で埋める。

これが、私が2度の受験を通じて辿り着いた結論です。


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「流れ」とは何を覚えることか

具体的には、次の骨組みを覚えます。

① どんな業務だったのか(業務の位置づけ)

・発注者、業務の目的、対象、規模。

・ここは事実なので、キーワードだけ押さえます。

② 何が問題だったのか(課題の所在)

・ その業務で、技術的に何が難しかったのか。

・ここが記述の中心になります。

③ 自分は何をしたのか(自分の役割と判断)

・ 管理技術者として、あるいは担当者として、どう判断し、どう動いたか。

主語が自分であることが重要です。

④ どうなったのか(結果と評価)

・その結果、何が達成されたのか。

この4つの流れさえ頭にあれば、細かい言い回しは本番で作れます。

自分がやった仕事なのですから、骨組みさえ思い出せれば、説明する言葉は出てきます。

逆に言えば、骨組みが曖昧なまま文章だけ覚えていると、少し詰まっただけで全体が崩れます。

覚え方の工夫:私が試したこと

暗記の方法そのものについても、いくつか試しました。

効果があったもの、微妙だったものを正直に書きます。

手で書いて覚える(効果あり)

結局、これが一番確実でした。声に出しながら書くと、なお良いと思います。

本番はキーボード入力ですが、覚える段階では手を動かしたほうが定着します。

流れを図で整理してから覚える(効果あり)

先ほどの4つの骨組みを、簡単な図やメモにまとめてから覚えます。

文章の塊として覚えるより、構造として覚えるほうが崩れにくい。

音声で聞く(効果は不明)

2025年、私はテキストをAIに読ませて音声で聞くという方法を試しました。

移動中でも学習できるので発想としては良かったのですが、正直なところ効果のほどは分かりません

手を動かす学習を代替できるかというと、疑問が残ります。

補助として使うくらいが妥当かもしれません。

移動時間を使う(現実的)

2025年の受験前日、私は出張で南大東島にいました。

行き帰りの移動時間が、そのまま暗記の時間になりました。

当日の朝も、直前まで詰め込んでいます。

褒められた計画性ではありませんが、実務をしながら受験する以上、こうした細切れ時間が主戦場になるのも現実です。

だからこそ、丸暗記ではなく流れを覚える方式が向いています。

細切れでも組み立てられるからです。

試験勉強と仕事を割り切らず、関係づけることも大切です。

必要な準備期間の目安

私の実感では、2日あれば形になります

2021年は前日からの準備で、試験Aに臨みました。

2025年も、資料の収集は1週間前から始めたものの、本格的に詰めたのは前日からです。

ただしこれは、書きやすい業務を選べていた場合の話です。

書き慣れない領域だと、同じ2日でも仕上がりが違います。

2025年の手ごたえが70%程度にとどまったのは、そこが効いています。

余裕を持つなら、試験の1週間前には文章を完成させ、そこから流れを頭に入れるというスケジュールが理想でしょう。

試験当日、書きながら整えるという発想

最後に、本番での心構えを。

CBTの利点は、書き直しが自由にできることです。

手書きなら消しゴムで消す必要がありますが、キーボードなら文章を後から入れ替えられます。

ですから、最初から完璧な文章を書こうとしなくて構いません。

まず骨組みに沿って要点を打ち込み、後から肉付けして整える。

この順序で進めれば、途中で詰まっても全体が崩れません。

「あの業務の発注者名が出てこない」といった場面でも、そこを飛ばして先に進み、後で戻ればいい。

丸暗記方式では、これができません。

私が「流れを覚えて自分の言葉で埋める」ことを勧めるのは、CBTという形式がその方法に向いているからでもあります。

まとめ:業務経験の記述は、出願から始まっている

整理します。

① 出願段階で、書きやすい業務を実績証明書に載せる

・ 当日書く業務は、ここから選ぶことになります。

・最大の設計ポイントです。

② 丸暗記ではなく、4つの流れを覚える

・ 業務の位置づけ、課題、自分の役割と判断、結果。

・この骨組みを頭に入れます。

③ 手を動かして覚え、細切れ時間も使う

・ 実務と両立する以上、まとまった時間は取れません。

・流れを覚える方式なら、細切れでも積み上がります。

④ 本番は、書きながら整える

・ CBTは書き直しが自由です。

・完璧を目指さず、骨組みから肉付けする順序で。

地味な科目ですが、準備した分だけ確実に返ってくる科目でもあります。

前回まで見てきたとおり、直前の努力で動かせないのは問題Ⅳ-2だけです。

ここは動きます。

次回は、CBT試験当日の実務的な話をします。

会場での受付、持ち物、時間の使い方。当日になって慌てないための情報をまとめます。

技術は、あなたのなかにすでにあります。

足りないのは、それを答案という形に翻訳する型と、どこに時間を使うかの見極めだけです。

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※本記事は筆者個人の経験と見解に基づくものであり、特定の団体の公式見解を示すものではありません。本記事では特定年度の試験問題の内容は扱っていません。学習期間や暗記方法の効果には個人差があり、本記事の内容は合格を保証するものではありません。制度に関する記述は令和8年度の受験の手引に基づいていますが、内容は年度によって変更される場合があります。受験にあたっては、必ず実施機関の公表する最新の受験案内をご確認ください。

技術士(建設部門)|沖縄在住の建設コンサルタント/ビジネスコーチ。2部門合格の経験をもとに、地方で働く技術者の資格取得と、輝くキャリアづくりを伴走支援しています。

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