夜のダイニングテーブルに、画面を下にしたスマートフォンと冷めたお茶、閉じた参考書が置かれている

合格者の投稿が流れてくるSNSは、今日は閉じてもいいと思います。

「合格しました」

その言葉を見るたびに、胸の奥が苦しくなる。

仕事や家庭と両立しながら、時間をつくって勉強してきた。

それなのに、合格者の一覧に、自分の受験番号はなかった。

悔しい。

情けない。

応援してくれた人に、申し訳ない。

そう感じるのは、それだけ本気で取り組んできた証拠です。

11月4日、技術士第二次試験の筆記試験の結果が発表されました。

合格された方、本当におめでとうございます。

そして、不合格だった方。

いまは、無理に前を向かなくて大丈夫です。

すぐに来年の勉強を始めなくてもいい。

前向きな言葉を探さなくてもいい。

今日は、落ち込んでください。

悔しさを、なかったことにしないでください。

その悔しさは、次へ進むと決めたとき、大きな力に変わります。

不合格は、あなた自身への評価ではない

不合格になると、努力だけでなく、これまでの経験や技術者としての力まで否定されたように感じることがあります。

でも、不合格は、あなたの人格や、技術者としての価値を否定するものではありません。

今回出した答案が、今回の合格基準に届かなかった。

まずは、それ以上でもそれ以下でもない結果として、受け止めてください。

仕事で積み重ねてきた経験も、家族と時間を調整して勉強した日々も、合格発表で消えるわけではありません。

私も、何度も不合格になりました

私は技術士試験を5回受けて、3回不合格になっています。

最初の科目は、初めての受験で落ちました。

2つ目の科目では、2年続けて落ちました。

勉強を続けているのに、点数が伸びない時期もありました。

不合格だったときは、こんなことも考えました。

「またダメだった」

「自分には向いていないのではないか」

「もう諦めたほうが楽ではないか」

だから、不合格だった方には、簡単に「気持ちを切り替えて、また頑張りましょう」とは言えません。

悔しさは、そんなに簡単に消えるものではないからです。

それでも私は、建設部門の2つの選択科目で、技術士になることができました。

最初から特別な力があったわけではありません。

不合格を、なかったことにしたわけでもありません。

何度も立ち止まりながら、

「それでも、自分は技術士になりたいのか」

この問いから逃げずに、自分なりの答えを出しました。

私の物語が変わり始めたのは、合格した日ではありません。

「もう一度、技術士を目指す」と、自分で決めた日でした。

来年も受験したい方だけ、この先を読んでください

いますぐ決める必要はありません。

十分に落ち込んで、気持ちが少し落ち着いてからで構いません。

そのうえで、「来年こそ合格したい」という気持ちが残っている方だけ、この先を読んでください。

来年の合格に向けて、最初にやることは、参考書を開くことではありません。

過去問を解くことでも、新しい講座を申し込むことでもありません。

最初にやることは、

「私は技術士になる」と決断することです。

「決める」と「決断する」は違う

積まれた参考書の横で、手がペンでノートにまっすぐな線を引いている

「来年も受験しようかな」

「時間があれば勉強しよう」

「そろそろ過去問を始めよう」

これらは、まだ決断ではありません。

いくつかの選択肢の中から、「技術士を目指す」を選んだだけです。

私が考える決断とは、

やることを決めると同時に、やらないことも決めること

です。

合格を目指すと決めても、これまでと同じ時間の使い方を続けていれば、勉強の時間は生まれません。

仕事が終わったあとのSNS。

目的もなく見続ける動画。

使い切れないほどの教材集め。

「もう少し準備が整ってから始めよう」という先送り。

すべてを捨てる必要はありません。

家族との時間や健康を犠牲にする必要もありません。

ただ、限られた時間で合格を目指すなら、「何を続け、何を減らし、何をやめるのか」を決める必要があります。

決断とは、自分を追い込むことではありません。

自分が本当に大切にしたいものに、時間と力を使うための線引きです。

決断が先、方法は後

不合格になると、すぐに方法を探したくなります。

「どの参考書を買えばいいのか」

「どの講座を受ければいいのか」

「どのAIを使えば効率的なのか」

もちろん、方法は大切です。

ただ、方法から考え始めると、教材や講座を比べるだけで満足して、肝心の行動が始まらないことがあります。

先に決めるのは、教材ではありません。

自分は、もう一度技術士を目指すのか。

ここを決めることです。

目指すと決めれば、必要な勉強時間を考えます。

時間をつくるために、生活の見直しが始まります。

自分だけでは難しいと分かれば、周りへの相談が始まります。

答案に課題があると分かれば、添削や模擬試験の必要性も見えてきます。

方法が自然に出来上がるわけではありません。

それでも、進む方向を決めると、どの情報を集め、何を選ぶべきかがはっきりします。

ゴールを決めるのが先。

方法を選び、試し、直すのはその後です。

合格した自分の視点から考える

次に、少しだけ視点を変えてみてください。

「仕事が忙しいから無理かもしれない」「前回も落ちたから、次も難しいかもしれない」と、

いまの自分の視点から考えるのではありません。

次のように問いかけてみます。

「技術士に合格した自分なら、今日から何を始めただろう」

「合格した自分なら、何をやめただろう」

「合格した自分なら、誰に協力をお願いしただろう」

たとえば、合格した自分は、参考書を何冊も買う前に、落ちた答案を見直しているかもしれません。

平日の勉強時間を増やす前に、週末の2時間を家族と相談して確保しているかもしれません。

一人で悩み続ける前に、上司や合格者に答案を見せているかもしれません。

未来の自分になりきれば、必ず正解が分かるわけではありません。

それでも、いまの不安だけを基準に考えるより、次の一歩が見つけやすくなります。

「なぜ技術士になりたいのか」を掘り下げる

技術士試験を受ける理由は、人によって違います。

  • 資格手当がほしい
  • 昇進や転職に生かしたい
  • 技術者として認められたい
  • 周りを見返したい
  • 自分に自信を持ちたい
  • 家族に頑張っている姿を見せたい
  • より大きな仕事に挑戦したい

どの理由でも構いません。

給料のためでも、見栄でも、自分のためでもいい。

立派な理由をつくる必要はありません。

大切なのは、

なぜ、自分は技術士になりたいのか。

この問いに、自分の言葉で答えられることです。

「給料を上げたい」と書いたなら、「給料が上がったら、何を実現したいのか」。

「技術者として認められたい」と書いたなら、「誰に、どんな技術者として認められたいのか」。

「会社から言われたから」と書いたなら、「会社から言われなければ、本当に受験しないのか」。

このように、「なぜ」を何度か繰り返してください。

最後に残った言葉が、仕事や家庭との両立が苦しくなったとき、自分を動かす理由になります。

決断したら、周りに宣言する

技術士を目指すと決めたら、次は宣言してください。

会社の上司や同僚、受験仲間、家族など、信頼できる人に伝えます。

たとえば、こんな宣言です。

私は、次回の技術士第二次試験で合格を目指します。 そのために、毎週4時間を試験対策に使います。 土曜日の午前中は、過去問に取り組みます。

「合格する」と言うだけでなく、具体的な行動も一緒に宣言してください。

  • 平日は週3回、30分勉強する
  • 毎週1回、答案の骨子をつくる
  • 毎月1本、答案を最後まで書く
  • 月に1回、第三者から意見をもらう
  • SNSを見る時間を、1日30分減らす

宣言すると、頭の中にあった目標が、現実の予定に変わります。

家族に勉強時間を相談できるかもしれません。

上司から業務経験について助言をもらえるかもしれません。

同僚や受験仲間と、答案を見せ合えるかもしれません。

実は、合格した年の私の勉強記録には、1月の新年会に「合格宣言」と予定を書いた日があります。

宣言は、思っているより勇気が要ります。

だからこそ、誰か一人に伝えるところからで十分です。

宣言は、自分を追い込むためだけのものではありません。

周りの理解と協力を得るための行動でもあります。

今日からできる「15分の再出発」

朝の食卓で、キッチンタイマーの横の開いたノートにペンを持った手が置かれている

今日は、勉強しなくて構いません。

気持ちが少し落ち着いたら、15分だけ時間をとって、次の6つを書き出してください。

  1. 今回、いちばん悔しかったこと
  2. それでも技術士になりたい理由
  3. 次回も受験するか、今回は受験しないか
  4. 受験するなら、いつまでに何を始めるか
  5. 合格のために、何を減らし、何をやめるか
  6. 最初に、誰に宣言するか

これだけで十分です。

いきなり一年分の計画を立てる必要はありません。

新しい参考書を買う必要もありません。

次の物語は、勉強量を増やすことではなく、自分で進む方向を決めるところから始まります。

「今は受験しない」も決断の一つ

自分と向き合った結果、「今は受験しない」と決めることも、間違いではありません。

仕事や家族、健康など、いましか守れないものもあります。

周りに言われたから何となく受験を続けるより、自分の価値観で「今は受けない」と決めるほうが、主体的な選択です。

その場合は、

「今は受験しない。○年後に、もう一度考える」

と、見直す時期まで決めておきましょう。

技術士を目指すことだけが、正しい人生ではありません。

大切なのは、周りに流されるのではなく、自分で選び、自分で決めることです。

人の力は借りる。ただし、人生の舵は渡さない

技術士試験は、一人だけで合格しなければならない試験ではありません。

上司、同僚、家族、受験仲間、合格者、勉強会、講座。

使える力は借りてください。

人を頼ることは、弱さではありません。

ただし、自分の答えや、技術士を目指す理由まで、誰かに預けないことも大切です。

助言を受ける。

答案を添削してもらう。

勉強の方法を教えてもらう。

そのうえで、何を取り入れ、どう動くかを決めるのは自分です。

相談する相手には、あなたが信頼できて、必要なときに率直な意見をくれる人を選んでください。

周りの力を借りながら、人生の舵は自分で握る。

それが、長い受験期間を乗り越えるために大切な姿勢だと思います。

不合格は、物語の終わりではない

いまは、合格した自分を想像できないかもしれません。

不合格という結果だけが目の前にあって、自分だけが取り残されたように感じているかもしれません。

私にも、何度も不合格になった時期がありました。

当時の私から見れば、技術士として仕事をしているいまの自分は、遠い未来にいました。

でも、物語が変わり始めたのは、合格した日ではありません。

「もう一度、技術士を目指す」

そう決断した日からです。

不合格だった今日を、消す必要はありません。

悔しさも、迷いも、立ち止まった時間も、合格したあとには自分の支えになります。

いつか、同じように悩む誰かを励ます経験になるかもしれません。

受験するのも自由。今は受験しないのも自由。

もう一度目指すと決めたなら、やることだけでなく、やらないことも決めてください。

その理由を、自分の言葉にしてください。

そして、信頼できる誰かに宣言してください。

不合格は、あなたの物語の結末ではありません。

ここから先をどう書くかは、あなた自身が決められます。


最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

「15分の再出発」で書き出した6つのうち、1つだけでも、私の公式LINEに送ってみてください。

最初の宣言の相手として、私が受け取ります。

答案の見直し方や、来年の進め方で迷っていることも、そのまま話しかけてもらえれば、私が直接お返事します。

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私が何度も落ちながら、それでも技術士を目指した理由は、自分史シリーズに書いています。

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