
封筒が届きました。
差出人は、日本技術士会 技術士試験センター。
中に入っていたのは、7年前(2019年)に私が書いた答案の点数です。
開封するまで、正直こわかったです。
A判定という文字は合否通知書で知っていました。
でも、それが何点だったのかは知らないままでした。
知らないほうが幸せなこともある、と思っていました。
開けてみたら、想像していたのと違う数字が並んでいました。
開示された数字を、そのまま出します
令和元年度、建設部門、選択科目は港湾及び空港です。
| 科目 | 得点 | 満点 | 得点率 | 判定 |
|---|---|---|---|---|
| 必須科目Ⅰ | 25.50 | 40 | 63.75% | A |
| 選択科目Ⅱ | 20.00 | 30 | 66.67% | A |
| 選択科目Ⅲ | 17.00 | 30 | 56.67% | B |
| 選択科目(Ⅱ+Ⅲ) | 37.00 | 60 | 61.67% | A |
結果は合格でした。
念のため、開示請求の手続きにも触れておきます。
請求できるのは口頭試験の合格発表日以降で、筆記試験の合格発表後ではありません。
様式は「技術士試験に関わる個人情報の場合」を使います。
「技術士試験合格に関わる個人情報の場合」を選ぶと、得点は開示されません。
手数料は300円、回答までは1〜2か月ほどでした。
私は7年経ってから請求しました。
もっと早く見ておけばよかったと思っています。
A判定の正体は、63.75%でした
必須科目Ⅰは40点満点で、合格ラインは60%の24.00点です。
私の点数は25.50点。
差は1.50点でした。
答案用紙3枚のうち、半行から1行分くらいの話です。
A判定という文字を見ていたときの私は、なんとなく「ちゃんと書けていたのだろう」と思っていました。
7年間そう思っていました。
実際は、1行落としていたら結果が違っていた場所にいました。
これはたぶん、私だけの話ではありません。
合格した人の答案が「良い答案」で、不合格だった人の答案が「悪い答案」なのではなくて、その差は1行分くらいのところにある。
開示された数字が示しているのは、そういうことだと思います。
逆に言えば、伸ばすべき幅も1行分だということです。
全部を書き直す必要はありません。
選択科目ⅢのBは、Ⅱに救われていました
もうひとつ、目を疑った数字があります。
選択科目Ⅲは17.00点、得点率56.67%。
単独で見れば、合格ラインの下です。
それでも合格しているのは、選択科目の判定がⅡとⅢの合計で出るからです。
Ⅱの20.00点が引き上げて、合計37.00点、61.67%。合格ラインの36.00点に対して、差は1.00点でした。
仮にⅢが15.00点だったら、合計は35.00点。不合格です。
これを「得意科目で稼げばいい」と読むのは、たぶん違います。
私が言いたいのは逆で、ⅡとⅢを別々の試験のように考えていると、判断を誤るということです。
当日、私はⅢを書き終えたとき「これは落としたな」と思いました。
そこで気持ちが切れていたら、Ⅱの見直しにも影響していたはずです。
最後まで1.00点差の勝負をしていたことを、当時の私はまったく知りませんでした。
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■ 令和8年度 必須科目Ⅰ-2 全文答案例
グリーンインフラの問題です。観点をどう立てたか、
なぜその課題を最重要としたかという設計意図まで書いています。
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建設部門の24問すべてを並べ、そこから逆算した点検表です。
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私が直接お返事します。
原因までは、分かりませんでした

ここからは、開示された数字ではなく私の手元の話です。
当時の再現論文が残っています。
読み返して、必須Ⅰと選択Ⅲを並べてみました。
共通していたこと。
課題は2つしか挙げていない。
分量はほぼ書き切っている。
専門用語や具体的な施策名は、それなりに書けている。
同じ日に同じ人間が書いた答案ですから、ここまでは似ています。
違って見えた点もありました。
選択Ⅲのほうは、設問番号と見出しがずれていて「(3)」が2回出てきます。誤字も混じっています。
ただ、これを「B判定の原因」と書くことはできません。
理由ははっきりしています。
再現論文は、試験が終わったあとに記憶をたどって書き起こしたものです。
実際に提出した答案と100%一致することは、まずありません。
番号のずれも誤字も、再現するときに私が生んだ可能性があります。
本番の答案用紙がどうなっていたかを確かめる方法は、もうありません。
つまり、再現論文から言えるのは「だいたいこういう趣旨のことを書いた」というところまでです。
課題を2つしか立てなかった、という骨格レベルの記録は信用できます。
でも、番号の振り方や誤字といった表面の再現度は、そこまで高くありません。
これは私の答案に限った話ではないと思います。
再現論文を持っている方は、そこに書いてある細部を「自分が本番で書いたもの」として扱わないほうが安全です。
推定していた配点モデルも、検証できませんでした

もうひとつ、正直に書いておきます。
私はこれまで、コンピテンシー別の配点を推定していました。
問題解決に何点、コミュニケーションに何点、という内訳です。
今回の開示で答え合わせができると思っていました。
できませんでした。
開示されるのは科目単位の総点のみで、内訳は含まれていません。
推定モデルは推定のままです。
結局、今回の開示で分かったのは「何点だったか」だけでした。
「なぜその点だったか」は、開示からも再現論文からも出てきません。
もっともらしく理由をつけることはできますが、それは分析ではなく創作になります。
ここは、分からなかったと書いておきます。
再現論文の、たぶん正しい使い方
では再現論文は無駄かというと、そうではないと思っています。
使い方が違うだけです。
一字一句を思い出そうとするのは、あきらめてください。
どうせ再現しきれませんし、細部を再現しても検証には使えません。
代わりに、骨格だけを記録してください。
記憶でも十分に再現できて、しかも次に活きるのは、この4つです。
- 課題をいくつ立てたか
- 各課題に観点を書いたか
- 設問番号と見出しを一対一で対応させたか
- 最重要課題を選んだ理由を書いたか
この4項目なら、試験直後の記憶でもかなり正確に思い出せます。
そして翌年の自分に渡せる情報になります。
私の再現論文で信用できたのも、まさにこの層でした。
「課題を2つしか立てていない」。
これは細部の再現度に関係なく、確かなことです。
当時の私は、そこに問題があるとすら思っていませんでした。
おわりに

1.50点と、1.00点。
7年経って自分の点数を見て思うのは、あのとき私を分けたのは才能ではなかった、ということです。
ぎりぎりで通っていた。
ただそれだけでした。
だから、いま「自分には無理かもしれない」と思っている方に伝えたいことがあります。
合格した人と、あと一歩だった人のあいだにある差は、
あなたが想像しているより小さいかもしれません。
その1行を、一緒に探しに行けたらと思います。
1.50点と1.00点。
その差を埋める作業を、ひとりでやる必要はありません。
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令和8年度技術士試験 建設部門全24問の分析
▸ 24問すべてを並べて、令和8年度に何が変わったのかを整理しました。
本記事のチェックリストは、この分析から逆算しています。
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技術士試験で財源と人材が書けなくなった日
▸ 令和8年度は、どのテーマでも書ける課題が封じられました。
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【免責注記】 ※本記事に記載した得点は、指定試験機関に開示請求して得た筆者個人の記録です。判定の理由に関する記述は筆者の推測であり、公式に示されたものではありません。配点・合否基準は年度により変更される場合があります。合格を保証するものではありません。 ※無断転載・再配布を禁じます。 © Okinawa-ichi, All rights reserved.
