ノートパソコンとコーヒーと本が並ぶ机

2020年、コロナ禍。

国から一人10万円の特別定額給付金が支給されたとき、あなたは何に使いましたか。

先の見えない時期でしたから、貯金に回した方が多かったと思います。

それは、まっとうな選択です。

我が家は、少し違う使い方をしました。

そしてその選択が、止まっていた夫婦の時間と、私の生き方を動かすきっかけになりました。

今日は、底からの立て直しの話です。

世界が止まった年

技術士の口頭試験を終え、家族での東京旅行を楽しんだ翌年、2020年。

建設コンサルタントは、年度末に仕事が集中します。

1月から3月まで駆け抜け、ようやく落ち着いたと思ったころ、世界が止まりました。

学校は休校。

子どもの入学式も、制限だらけでした。

慌ててWebカメラをそろえ、初めての在宅勤務が始まりました。

外に出られなくなった分、動画やSNSに触れる時間が増えました。

人に会えない代わりに、オンラインで学ぶ場が広がり始めた時期でもあります。

そんな中、給付金が支給されました。

夫婦で始めた、初めての共通の習い事

我が家がそのお金で選んだのは、オンラインの速読講座を、夫婦二人で受けることでした。

「え、貯金しないの?」と思われたかもしれません。

講座は読む技術だけでなく、呼吸や集中を整える要素もありました。

続けるうちに本が読めるようになり、多い年には年間130冊ほど読むようになりました。

ただ、いちばん大きかったのは、読書量ではありませんでした。

結婚して初めて、夫婦で同じことを学んだということです。

同じ画面を見て、同じ課題に取り組み、同じ話題で笑う。

あの玄関の夜から止まっていた二人の時間が、「一緒に学ぶ」ことを通して、少しずつ温まっていくのを感じました。

話し合いを重ねても動かなかったものが、隣で同じことをしているうちに、動き始めた。

いま振り返っても、不思議な感覚です。

15年間の問いに、答えが出た

窓辺に積まれた本と小さな観葉植物

学びは、次の学びを連れてきます。

読書量が増え、いろいろな生き方に触れるうちに、

妻から「面白い動画があるよ」と、人の心について学ぶ講座(人間心理学)を紹介されました。

受けてみると、目からうろこの連続でした。

オンラインで知り合った、年代も性別もばらばらの仲間と、旅行に行くほど仲良くなりました。

会社と家の往復だけだった私の世界が、一気に広がりました。

そして講座の途中で、私は気づきました。

入社以来15年、帰り道で繰り返してきたあの問い。

「なぜ、私はこの会社で働いているのか」

答えが出なかったのは、問いの立て方が違っていたからでした。

本当の問いは、こうだったのです。

「俺って本当は、どう生きたいのか」

心の奥から出てきた答えは、「自分で事業をやってみたい」でした。

会社の指示で設計をし、会社が望む資格を取り、ずっと誰かの望みに沿って生きてきた。

今度は、自分で選んでみたい。

そう思いました。

夫婦で、同じ日に開業届を出した

同じころ、妻も変わり始めていました。

妻も同じ講座を受け、体の使い方を整えるトレーナーとして活動を始めました。

そして、長年勤めた仕事を、私より先に辞めました。

私たちは、同じ日に、個人事業の開業届を出しました。

私はコーチングを学び、無料の体験から始めて、少しずつ有料の契約もいただけるようになりました。

昼は会社員、夜はコーチング。

気づけば寝落ちしている毎日でした。

15年間、毎日会社に行くことしか知らなかった私は、退職も考えました。

経営者と何度も話し合い、最終的に、週4日勤務という働き方に変えてもらいました。

正直に書きます。

会社員という立場を手放していくのは、怖くてたまりませんでした。

それでも、あの玄関の夜を経験した私には、一つだけ分かっていたことがあります。

本当に怖いのは、挑戦することではなく、

大切なものを見失ったまま時間が過ぎていくことだ、ということです。

あなたへの問いかけ

最近、自分のために使ったお金や時間で、心に残っているものはありますか。

大切な人と最後に「一緒に何かを学んだ」のは、いつですか。

我が家を動かしたのは、話し合いの正しさではなく、隣に並んで同じことをする時間でした。

次回予告

最終話は、事業を始めてから突きつけられた問いの話です。

「あなたの専門性は、何ですか?」。

その問いの前で立ち止まった私が、遠回りの末にたどり着いた場所を書きます。


最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

変わりたいけれど、何から始めればいいか分からない。

昔の私と同じ場所にいるなら、公式LINEから話しかけてください。

最初の一歩は、誰かに話してみることからでも十分だと思っています。

私が直接お返事します。

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【第1話】なぜ俺はこの会社で働いてるんだろう
【第2話】資格を取れば人生が変わると思っていた
【第3話】玄関のドアが、開けられなかった
【第4話】10万円の給付金を貯金しなかった夫婦の話
【第5話】あなたの専門性は何ですか

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